芋掘炬燵(いもほりこたつ) ー 山﨑悠貴


<雨を喜ぶ秋のキノコ。背景には百年の洋館>

 

同僚が

「芋掘炬燵(いもほりこたつ)」

をつくっている。

 

穴が掘りたくて我が社にやってきた人だが、
(穴が掘れればいいだけではなく、
かなり高い理想があるのだ)
入社動機だけでなく、
やること為すことぶっ飛んでいる。

 

ある日、熱心にスマホをいじっている
彼女を見かけた。
あまりケータイを見ない人なので
珍しかったのだ。
何してるのと訊いたら、
重機の動かし方を
ケータイアプリで練習しているという。

 

ふーんと返した数日後、
森の西側に、
直径6mほどの穴ができていた。
覚えたての重機操作で、
どでかい穴を拵えたのだった。
※ 芋掘炬燵は会社公認です。念の為。

 

そしてさらに数日後。
他所から運んできた土を入れた。
撫で固めては水を撒いてを繰り返し、
座面が登場した。

 


<一つ一つの座面を撫でさする>

 

朝から日暮れまで、
ぶつぶつ呟きながら座面を撫でている。
引き込まれるようにして、
何人かの人間が手伝いをはじめ
彼女よりやる気な先輩(御年79歳)が
先陣きって掘っている。
彼女の馬車馬のようなバイタリティは、
引力もすごい。

 

もうしばらくで完成するこの場所は、
火を囲んで芋を焼いたり、
ただぼーっとしたり、
座る人々を傍から見たりする場所だ。

 

火を見下ろしてもいいし、
座ると目線の高さにある地面を
眺めてもいい。
視点も関わり方も決まりはない。

 

訪れた人次第で過ごし方は変わるし、
暑い日も寒い日も、
うららかな日も、悪くない。
何でもありなこの空間にいると
肩の力が抜ける。

 

芋掘りごたつのようなものを
つくれる場所があり、
つくれる人がいる。
そこに人を呼ぶ仕掛けは
風土と密接に結びつき
ぐわーんと広がる世界観がある。
それがこの会社の面白いところだ。

 

もしもひらめかなくて、
行き詰まってしまったら、
森へどうぞ。

 

ひらめく仕掛けを用意して、
いつでもお待ちしています。

 


「きたもっく」web


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