虹の根本は何もない。 ー 中村まや

 

久しぶりにゆっくりと寝て、
午前10時頃に目覚めて
カーテンをあけると、
まぶしいくらいにピカピカのお天気だった。
洗濯したり、
コーヒーを飲んだりしていると、
今度は雲がかかって通り雨が降りだした。

 

情緒不安定な天気だなあとを思っていたら、
農家の岡田おばあちゃんがうちにやってきて

「ほうれん草と小豆持ってきたから
食べな~」

とおすそ分けをくれた。

「おー、ではでは昨日鹿捌いたから
鹿肉持っていってください」

と私。

「まやちゃんの鹿肉は
綺麗でおいしいから嬉しいわ~
ありがとうね~。
…あ、また雨降ってきた。
今日は変な天気よね。
さっきうっすらと虹出てたわよ。
ほんじゃまたね~」

と岡田おばあちゃん。

 

岡田おばあちゃんから
虹の目撃情報を聞いたので、
窓から念入りに虹を探してみた。
そうしたら、
でかすぎて近づぎて気づかなかったけど、
とんでもなく綺麗な虹があった。

 

うおー、綺麗だー!

と感動し、ちょっと近づいてみたい
気持ちになったので、車を走らせて
虹が生えている根本? に向かってみた。

 

色のコントラストがはっきりしていて、
半円がまるごと見える
テンションがあがる最高クラスの虹。

 

根本はあそこだ!

と車を走らせる。
そうすると、近づけば近づくほど
見えなくなっていった。

 

「あれー、
さっきまでここから虹生えてると
思ったんだけどな。
虹なくなった?」

独り言をぶつぶつ言いながら、
虹がなくなったので虹から少し離れてみる。
するとやっぱりそこには
虹があるではないか!
そして、やっぱり虹の根本は
さっき行ったあの場所に違いない。

 

また虹の根本に車を走らせるが、
やっぱり近づくと見えなくなる。
なんだこの現象は。
これを角度を変えて
何回もチャレンジしていたら、
いよいよ虹は消えてなくなった。

 

あぁ、
今度は本当に虹がなくなってしまった!
なんか知らないけど
チャレンジ失敗に終わったような
気分である。
でも虹はとても綺麗だった。

 

虹は遠くから見るから綺麗で
大きいとわかるけど、
近づきすぎるとその存在すら
よくわからなかった。
虹自体も自分が綺麗だったことは
分かってないだろう。
人も同じなのかもしれない。
なんて、ぼーっと考える昼下がり。

 


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