何度でも観たいライブショー /「アメリカン・ユートピア」 ー 中村克子

 

前回
「ブラ!ブラ!ブラ!胸いっぱいの愛を」。

 

主人公・鉄道運転士のヌルランが
列車に引っかかった
ブラジャーの持ち主を探す物語と聞くと、
確かに「 ??? 」となる(笑)。

 

でもヌルランが奔走する姿が微笑ましく、
舞台となっているアゼルバイジャンの
日常の風景をやわらかい雰囲気の映像で
表現していたのも良かった。

 

監督や出演者のプロフィールを見ると、
ファイト・ヘルマー監督はドイツ、
主人公を演じたミキ・マノイロヴィッチは
旧ユーゴスラヴィア・ベオグラードの出身。

 

その他の出演者もフランス、ロシア、
ルーマニア、スペインなど
さまざまな国の人が
集まって製作されている。

 

今年、観た映画の中で印象に残っている
「アメリカン・ユートピア」
(スパイク・リー監督)も
さまざまな国から集結している。

 

この映画は、ブロードウェイで上演された
デイヴィッド・バーンの
ライブショーを収録したものだ。

 

彼はスコットランド出身で、
後にアメリカに移住。
そして11人で構成されたバンドメンバーは
アメリカ、カナダ、
ブラジル、フランスなど多国籍。

 

そしてスパイク・リー監督は
アメリカ出身で、
アフリカ系アメリカ人というのも
この映画では重要な点なのかもしれない。

 

私はこれまで、
デイヴィッド・バーンのことを
ほとんど知らなかった。
かろうじてトーキング・ヘッズという
バンド名を聞いたことがあるくらいだ。

 

この作品が話題になっていたことは
知っていたが、
観るタイミングを逃していた。
映画の公開が終盤になった頃、
一応観ておこうかなという
軽い気持ちで映画館へ。

 

それはライブのような音楽劇のような、
今まで観たことがないものだった。
音楽と演奏、そして照明、
衣装、演出などすべてがすばらしく、
こんな表現方法もあるのかと
感動してしまった。

 

結局、2週間のうちに3回鑑賞。
全く知らない私が
感動してしまったのだから、
ファンの人たちには
たまらない作品だと思う。

 

デイヴィッド・バーンが無駄なものを省いて
大切なものだけを残したという
ライブショーは独創的でスタイリッシュ、
そしてユーモアもたっぷり。

 

衣装はグレーのスーツで統一。
そして裸足。
楽器の配線をなくてし、
ミュージシャンは楽器を首から下げて演奏。
舞台には人と楽器のみだ。

 

1回目に観た時は、
やはりデイヴィッド・バーンに目がいく。
映画の冒頭、人の脳の模型を持って登場。
曲に合わせて脳の説明を始める彼に、
これから何が始まるの?
というワクワク感があった。

 

最初から最後まで歌って踊って、
ギターを弾いて…。
飄々とした雰囲気だが、
パワフルでもある。
そして演奏の合間のトークでは、
アメリカの選挙の投票率や
人種問題などについて語る。
音楽自体もそういったメッセージ性が強い。

 

そして11人のバンドメンバーも多才だ。
軽やかに踊り、
コーラスも担当する2人のダンサー。
マーチングバンドのように、
演奏しながら自由自在に動き回る
ミュージシャンたち。
詳しくは知らないが、
みんなプロフェッショナルで、
芸達者な人たちが集まっているのだと思う。

 

2回目、3回目に観た時は
細かいところに注目。
例えば、グレーのスーツの両肩の部分には
小さな丸い形の飾りがついていて、
さりげないオシャレがあったり。
バンドメンバーがそれぞれの曲に合わせて
表情も作っていて
演技の要素も入っていたり。
とにかく、細部にまで
こだわりがあるのがわかった。

 

それにデイヴィッド・バーンと
バンドメンバーの仲の良さも伝わってきて、
最高のライブを作るために
みんなで切磋琢磨してきたことが
想像できる内容だった。
何回でも映画を観たいと思ったし、
生でも観たいと思った。

 

という訳で、
私の中の2021年に観た映画No.1だ
(まだ今年は終わっていないけれど)。

 

 

「青と夜ノ空」web


2021年11月30日 | Posted in 余談Lab, clue topics, 映画に学ぶ, 中村克子 | | No Comments » 

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