3回観れば/「水俣曼荼羅」 ー 大場 綾

 

「アメリカン・ユートピア」を
2週間のうちに3回も!
克子さんの興奮が伝わるようだ。

 

映画館で何度も観た映画、
何があったかなあと思いながら
原一男監督の「水俣曼荼羅」を観に行った。
全編372分、6時間超、休憩2回。
これはこれで3回観たようなもので、
終わるころにはお尻が悲鳴を上げていた。

 

日本の高度成長期の負の遺産、公害病。
そのうち4大公害病と呼ばれるうちの
一つが水俣病だ。
子どものころ、教科書にも載っていた。
とんでもなくよじれた体の患者の写真。
一目で重篤さがわかる。

 

水俣病はそういう病気。
その程度の知識だった。
今回初めて知ったことは膨大だ。

 

発病の原因は従来言われていたような
末梢神経系の障害ではなく、
脳細胞が破壊されるせいであること。
それが最近わかったこと。
それを政府がスルーしたこと。
顕著な症状以外にも、
触覚が著しく鈍いなど
症状がわかりづらい患者がいて、
認定を受けられず
(本人も病気とは思わず)
長年苦しんできたこと。
終わっていない訴訟もあり、
来年の3月30日に判決が出ること。
などなどなどなど。

 

15年間撮影し続けたそうだ。
そう思うとたったの6時間だ。
どんどん年を取り、
最後には故人となった方もいた。

 

さまざまな人が出てきた。
「寄り添う」などという言葉が
陳腐に感じるぐらい、
監督はガッツリ向き合って撮っていた。
その人たちの本質を撮っていた。
距離が近い人たちはみんな魅力的だった。
魅力的だなあと思いながら
撮るとそうなるんじゃないだろうか。

 

終映後、
監督ご本人がスクリーン前に登場した。
観客の質問に
マシンガントークで答えたあと、

「映画は3回観るものです!」

というようなことを力強く言うので、
私は席で「ひゃっ」となった。

 

内訳は、1回目は単純に鑑賞する。
2回目は作者の意図かなと思う部分や
気になる部分、細部に気がつく。
3回目はそれを検証しに行く。
とのこと(うろ覚えだが)。

 

あと2回。

 


患者のしのぶさんと、彼女が好きだった人

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」


2021年12月17日 | Posted in 余談Lab, clue topics, 映画に学ぶ, 大場綾 | | No Comments » 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA