なんのために開くのか?/「東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート」 ー 中村克子

 

原一男監督のドキュメンタリー映画
「水俣曼荼羅」は全編372分、
6時間超、休憩2回。
6時間超とは長い!
大場 綾さんが
お尻が痛くなったというのも想像できる。

 

原監督はスタッフと一緒に水俣に移住して
長年、撮影してきたそうだ。
監督の人生をかけての作品ということか…。
水俣病のことは過去のことではなく、
現在も解決していないことが
いくつもあるという。

 

今年は「MINAMATAーミナマター」
(ジョニー・デップ製作・主演)も
公開された。
どちらの作品もまだ観ていないが、
観ておくべき映画だと思う。

 

今年、観たドキュメンタリー映画の中で
心に残っているのが
「東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート」(青山真也監督)だ。

 

東京2020オリンピックのための
国立競技場の建て替えにより、
取り壊すことになった都営霞ヶ丘アパート。
そこに住んでいた人たちの
2014年〜2017年の記録だ。

 

平均年齢65歳、
高齢者が多く住んでいた団地。
これまでお互いに助け合いながら、
一つのコミュニティとして成り立っていた。
そこへ突きつけられた
東京都からの一方的な退去の通達。

 

高齢者にとって引っ越しは
体力的にも精神的にも大変なこと。
それに、この団地以外に
住む場所がない人にとっては、
生きる希望を失ってしまうような出来事だ。

 

1964年の東京オリンピックの時に
建てられた都営霞ヶ丘アパートに当時、
入居して、今回の東京オリンピックのために
退去させられるという男性の話は、
オリンピックに翻弄された
皮肉な話で悲しい気持ちになった。

 

映画では住民の日々の暮らし、
そしてこの先どう暮らしていけばいいのか、
また団地から離れるという寂しい思いなど
住民の心情が淡々と描かれている。

 

オリンピックの華やかな表舞台の裏に、
つらい思いをした人たちがいるという事実を
知っておきたい。

 

なんのためにオリンピックを開くのか?
もう一度考えるきっかけとなるような
作品だ。

 

 

「青と夜ノ空」web


2021年12月27日 | Posted in 余談Lab, clue topics, 映画に学ぶ, 中村克子 | | No Comments » 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA