モノクロとカラーの世界 /「ベルリン・天使の詩」 ー 中村克子

 

徳江さんはほんとうは ”という
見出しが気になった前回のコラム。

 

この見出しの後には
「…」が長くつくと思う。
そこには、徳江さんの
いろんな思いが詰め込まれている…………。

 

映画「あん」では
主人公・千太郎を中心にしているが、
徳江さんを主人公にしたら
違う視点の作品になるはず。
ハンセン病を患い長年、
社会から隔離された生活、
そして生きがいとも言える
あんづくりへの思いを
もっと知りたいところだ。

 

この作品では、
満開の桜が記憶に残るシーンとして
使われている。
徳江さんが眺める桜並木、
ラストで桜の下で
千太郎がどら焼きを売る場面など。

 

美しい桜の風景が使われている
映画(特に邦画)は多くあり、
あの作品、この作品と頭に浮かぶ。

 

今回、紹介する「ベルリン・天使の詩」
(ヴィム・ベンダース監督作品)では
桜は出てこないが、ベルリンの街が
記憶に残るシーンとして数多く登場する。

 

天使ダミエルが塔の上から見下ろす、
人が行き交う街並み。
東西を隔てた「ベルリンの壁」
(これは貴重な映像だと思う)。
その他、街角のコーヒースタンドや
サーカス小屋、図書館、
ライブハウスなど。
そして天使から見た世界はモノクロ、
人間から見た世界はカラーで
映像を使い分けているのも特徴的だ。

 

ダミエルは日々、街のあちこちで
悩みを持つ人間の心の声に耳を傾け、
寄り添っている。
そんな中、サーカス小屋で
空中ブランコの練習をする
マリオンに出会い、惹かれていく。
だんだん天使から
人間になりたいと思うようになる。

 

「刑事コロンボ」でおなじみの
ピーター・フォークが
本人役で登場するのもおもしろい。
ダミエルに、人間の世界もいいものだと
アドバイスをするキーパーソンだ。

 

一番印象的なのは、
ダミエルが人間になった瞬間。
モノクロからカラーに映像が切り変わり、
空から落ちてきた天使の鎧に
頭をぶつけて血を出す。
赤い血を見て痛みを感じ、
人間になったことに気づく。
すれ違った男性と会話をして、
コーヒースタンドでコーヒーを飲む。
人間として意気揚々と歩く
彼の姿が清々しい。

 

世の中には以前、
天使だった人間がいるかもと考えると
ちょっとワクワクする。
そして日々、
見守ってくれる天使がいると思うと
心強い気持ちになる。

 

「青と夜ノ空」web


2022年01月31日 | Posted in 余談Lab, clue topics, 映画に学ぶ, 中村克子 | | No Comments » 

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