なにも遅すぎるということはない/ 「イーディ、83歳 はじめての山登り」ー 大場 綾

 

mid90s」の主人公スティーヴィーは
小柄であどけなくて、
たぶん14歳だけどもっと幼く見えた。
そんな子が年上の
スケートボーダーに混ざって、
お酒も飲むし、性体験もするし、
危なっかしさにハラハラする。
ラストは清々しさの中に苦さが残った。
この子たちの人生は
これからどうなっていくのか、と。

 

出演者は実際にプロやアマチュアの
スケートボーダーでもある。
克子さん

「こんな風に乗りこなせたら
楽しいだろうなとちょっと思う。
でもすぐに挑戦とはいかない。
なぜなら足を骨折しそうだから…。
気持ちだけでも10代の気分でいきたい!」

と書いていた。
確かに若者ではなくなってからの
新しい挑戦は勇気が要る!

 

「イーディ、83歳 はじめての山登り」は
タイトル通り、83歳にして
初めて登山に挑戦する女性の話。
イーディを演じた
シーラ・ハンコックも実際に83歳。
目指したスイルベン山は
原野を数日歩かないとたどり着けない。

 

冒頭、彼女が30年も介護してきた
夫が亡くなる。
日本映画なら亡き夫との思いを胸に…
みたいになりそうなところ、
この作品はビターだ。
結婚してからイーディの人生は
自分のためのものではなかった。

 

倒れる前の夫は超DV。
娘との仲はいまだにぎくしゃくしている。
家族との暖かな思い出は
決して描かれない。
過去を清算する話ではないから。
焦点は彼女のこれから。 というか、今。
将来という言葉は
若者のためだけのものじゃない。

 

山を目指すきっかけがよかった。
行きつけのレストランで、
遅いからもう注文できないわねと
言ったときの店主の返事。

「遅すぎるということはないよ」。

 

父と行こうと約束していた
スイルベン山の絵葉書を
たまたま手にしていたこと。
ほんの小さな偶然で
イーディは新しい一歩を踏み出した。
ほんの小さな偶然の、結構な偉大さ。

 

さてこのリレーコラム、
私の回はこれで終了です。
これまで41回(も!)、
楽しく書かせていただきました。

 

私が書いたコラムを
克子さんがどう受け止めて、
そこからどんな映画が出てくるのか、
そして出てきたものにどう返そうか、
楽しくやらせていただきました。

 

clue zemi永井さんに感謝です。
いつも素敵な感想をくださった、
編集長の高羽さんにも感謝です。
読んでくださった方にも感謝です。
気がかりなことの多い時代に
なってしまいましたが、
clue zemiや皆さんの将来が
明るいものであり続けますよう。

 

 


大場 綾ブログ「kusamura.com」


2022年03月17日 | Posted in 余談Lab, clue topics, 映画に学ぶ, 大場綾 | | No Comments » 

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