ときめきのアイドルたち ー 浅野知子
アタイは流しの仲居。
前回の北陸の板さんと同様に、
行く先々で出会ったときめきの数々。
恋とはまた違う、言わば超個人的な
アタイのアイドルたち。
「あら~なんでも食っちまうよ」
と、館内の池に朝食の残りを放り投げ、
卵焼や鮭の切身に食いつく鯉に
感心していたヨシコ姐さん(仮名)。
わからない料理名を確認すると
「え?魚でしょ」
見ればわかる。せめて魚の名前を…
「『白身魚です』って言いなさい」
と雑な指示をくれたヨウコ姐さん(仮名)。
下の名前の漢字を尋ねると、
ゆっくりと振り返りながら
「うかんむりにナームー」
と手を合わせ、日本舞踊の様な仕草で
答えてくれた宏子姐さん。
「いい男がいるよ」
と70歳超え男子をおすすめしときながら、
「でも彼、意地汚いから…ウケケ」
と即否定し、もの凄く悪い顔をして
笑っていたキミ姐さん(仮名)。
少女漫画に例えれば
「…ドキン…(花の背景をバックに)」
と恋に落ちる瞬間です。
手の届かない面白さは憧れであり、
その味わい深さに信仰と尊敬に近い感情も。
なるほど、アイドルにハマる感覚とは
コレかも知れないと。
「キャ~!かっこいい~!」ではなく
「キャ~!おもしろ~い!」に
ときめく性分だと気付きました。
とは言え同じ仕事をしている立場から、
ジャニーズでいえば
私はさながらジャニーズJr。
いつか私も…いいえ、
ずっとファンの立場でありますように。
アタイは流しの仲居であり、
追っかけなのさ…。
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